消防設備士という資格をご存じでしょうか?
就職氷河期世代のお笑い芸人である、元ザブングルの加藤さんが取得したことでも話題になりました。
副業として消防設備の点検・整備の仕事をしているそうですが、芸人の仕事3:消防設備士7ということで、もはや本業と言っても差し支えありません。
この消防設備士が既卒の就職に有利である理由を、需要・難易度等を交えて解説しました。
消防設備士とは
そもそも消防設備士とはどんな資格なのか、簡単に確認しておきましょう。
どんな資格?
消防設備士は国家資格で、消火設備や警報設備などの工事・点検・整備などを行うことができます。
甲種・乙種の2種類がある
消防設備士は甲種と乙種の2種類があります。
2つの違いは工事ができるかどうかで、甲種はできますが、乙種はできません。
また、甲種・乙種それぞれに分類があり、甲種が特類と第1~5類、乙種が第1~7類があります。
消防設備士の就職先
ビル管理・メンテナンス会社、消防設備会社、セキュリティ関連会社、防災関連会社などです。
消防設備士は就職に有利である理由
消防設備士が就職に有利である理由を以下にまとめました。
業界が人手不足なので需要が多い
団塊の世代など60歳以上の定年退職によって、業界が人手不足なので、企業規模や年収に拘らなければ、消防設備士の資格の有無にかかわらず、就職がしやすいです。
求人サイトで実際に求人を探してみてもらうと分かりますが、「未経験者可」「資格取得サポートあり」としている会社が多くあります。
工事ができる甲種の方がより就職に有利
消防設備士は甲種と乙種があると述べましたが、点検・整備だけの乙種でも就職はできないことはないです。
しかし、工事もできる甲種の方がより就職に有利です。
全8資格を取得すると8人分の仕事ができる
消防設備士は、甲種が特類と第1~5類、乙種が第1~7類ありますが、甲種は乙種を含んでいるので、合計で8資格になります。
この8資格はそれぞれ仕事内容が異なるので、全て持っていると、8人分の仕事ができることになります。
国家資格の中では易しいといっても、全てを持っている人は非常に少なく、引く手あまたなので、40歳以上でも正社員で採用してもらいやすいです。
消防設備士の取得難易度
以下の合格基準、合格率を見ても分かるように、消防設備士の取得難易度は比較的易しいです。
甲種特類
各科目毎に40%以上で全体の出題数の60%以上の成績を修めた方を合格とします。特類以外
筆記試験において、各科目毎に40%以上で全体の出題数の60%以上、かつ、実技試験において60%以上の成績を修めた者を合格とします。なお、試験の一部免除がある場合は、免除を受けた以外の問題で上記の成績を修めた方を合格とします。
出典:「消防試験研究センター 合格基準」
令和2年から過去5年間の合格率で見ると、甲種合計では30.4~35%、乙種では34.5~38.8%となっていて、甲種の方が工事に携われるため、その分試験は難しくなっています。
平成28年 | 平成29年 | 平成30年 | 令和1年 | 令和2年 | |
---|---|---|---|---|---|
甲種合計 | 30.4% | 31.4% | 31.9% | 31.9% | 35% |
乙種合計 | 34.5% | 35.2% | 36% | 35.4% | 38.8% |
以下は、未経験者が最初に取ると良いとされている試験種の合格率です。
平成28年 | 平成29年 | 平成30年 | 令和1年 | 令和2年 | |
---|---|---|---|---|---|
甲種4類 | 33.2% | 30.7% | 32.4% | 32.7% | 37.4% |
乙種6類 | 37.8% | 37.9% | 40% | 37.8% | 42.6% |
難易度に関しては、以下のように述べている人もいます。
入社後に取得すればいいだけですし、実際に業務を経験しながらの方が、参考書だけで勉強するよりも簡単に取得できます。
出典:「Yahoo!知恵袋」
以上のように、国家資格ではあるものの、難関資格のような難しさではないので、きちんと勉強をすれば十分に取得できるレベルです。
消防設備士の年収は?
消防設備士を取得すると、就職に有利であることが分かりましたが、年収はどれくらい稼げるのでしょうか?
甲種の年収の方が高い
消防設備士の資格持ちで、実務未経験だと、年収は300~400万円と言われています。
工事ができる甲種の方が年収が高いですが、人手不足の業界なので、乙種でもさほど変わらない企業もあります。
企業規模・勤務日数など条件によって異なる
当然企業規模が大きい方が年収が高くなる傾向があります。
住宅手当、家族・扶養手当など各種手当も充実しているので、その分高くなりやすいです。
また、勤務日数が多い(年間休日が少ない)とその分高くなります。
コンプリートすることで年収アップ可能
消防設備士は、甲種が6種類、乙種が7種類あります。(重複を除くと8つ)
8つ全て取得することによって、仕事の幅が広がるので、その分年収がアップします。
消防設備士になるメリット・デメリット
消防設備士への興味が深まったと思います。
そこで、消防設備士になるメリット・デメリットについて確認しておきましょう。
デメリット
- 体力を使う
- 夜勤がある
- 土日出勤もある(会社による)
- 緊急対応の呼び出しがある(会社による)
消防設備の点検・整備は体力を使う仕事です。
建物の中を歩き回らないといけないので、2万歩歩くというのはよくあることです。
しかも、仕事中は屈んだりするので、腰痛に悩まされる人もいます。
夜勤があるのは、夜間に何か発生した時に対応できるようにするためですが、日勤を終えた後にう夜勤があるときついですね。
土日出勤や緊急の呼び出しは、完全に土日休みであったり、呼び出しのない会社もあるので、絶対ではありませんが、ある会社の方が多いです。
メリット
- 景気に関係なく一定の需要がある
- 学歴は関係ない
- 長く働ける
- 年収アップできる
- 独立を目指すこともできる
消防設備士の仕事は景気に関係なく一定の需要があります。
法律で消防用設備の設置が定められていて、その工事や整備等を行えるのは、資格を持っている人に限れているからです。
つまり、資格さえ持っていれば、学歴に関係なく長く働けます。
副業で仕事をしている、元ザブングルの加藤さんのように、年齢に関しても寛容です。
消防設備士の資格は、甲種特類と1~5類、乙種6・7類の8つ全てを取得することによって、仕事の幅が広がる(8人分の仕事ができる)ので、年収アップも可能です。
電気工事士などの関連資格を取得すれば、さらなる年収アップも見込めます。
そうして経験や人脈を得ていくうちに、独立する人もいます。
消防設備士試験の受験資格と取得の順番
消防設備士試験の受験資格と取得の順番についてまとめました。
消防設備士試験の受験資格
消防設備士試験の受験資格ですが、乙種は誰でも受験することができます。
一方で、甲種は学歴と国家資格等によるものがあり、全くの文系人間が受けるためには、次の何れかを満たすのが現実的です。
対象者 | 資格内容 |
---|---|
乙種消防設備士 | 乙種消防設備士免状の交付を受けた後2年以上、工事整備対象設備等の整備(消防法17条の5の規定に基づく政令で定められたもの)の経験を有する者 |
電気工事士 (試験の一部免除有) |
1.電気工事士法第2条第4項に規定する電気工事士免状の交付を受けている者 2.電気工事士法施行規則による旧電気工事技術者検定合格証明書の所持者で電気工事士免状の交付を受けているとみなされる者 |
無線従事者 | 電波法第41条の規定により無線従事者資格(アマチュア無線技士を除く。)の免許を受けている者 |
出典:「消防試験研究センター 甲種受験資格」
消防設備士の取得の順番
消防設備士の資格を取得するのにどの順番で取れば良いのかまとめました。
まずは、関連する口コミをご覧ください。
取得の順番は、まったくのフリーからであれば4612375特の順、乙しかない67以外はすべて甲種での取得をお勧めします。46は取得すれば有効範囲広いですから、ほかの業種に就職しても、うまく使えば資格を生かせます。
ただし業界入りしない場合は更新講習のコストも要検討ですよ。現実的なお勧めは、甲4を取る→業界に入る(以降の資格取得にリターンが見込める)か検討→業界に入ったら残りをハイペースで取ってリターン最大化につなげる、というコースです。
出典:「Yahoo!知恵袋」
関連資格(電気工事士等)がない状況からのスタートであれば、乙種6類から取得をお勧めします。並行して第二種電気工事士の取得をして甲種4類→甲種1~3類、甲種5類、乙種7類(順不同)→甲種特類の取得。
出典:「Yahoo!知恵袋」
より確実に就職をすることを考えるのであれば、前者の口コミのように、甲種4類を取得して就活した方が良いでしょう。
ただし、甲種の受験資格を満たしている場合に限ります。
一方で、後者の口コミでは、乙種6類をまず取得することを勧めています。
これは、甲種よりも乙種の方が難易度が易しいためで、資格取得の勉強に挫折しないように配慮していることが伺えます。
さらに、乙種は文系でも受験資格があるという理由もあります。
>>ヒューマンアカデミー 消防設備士受験講座 公式サイト<<
甲種の受験資格を満たす方法
もし、文系でいきなり甲種の受験資格を満たしたいのであれば、第二種電気工事士か、第三級陸上特殊無線技士(国内電信級陸上特殊無線技士と第一級陸上特殊無線技士以外)を取得しておく必要があります。
どちらも難易度は易しいですが、第三級陸上特殊無線技士の方が免状交付までのスピードが早いのでおすすめです。
第三級陸上特殊無線技士は、誰でも受講できる公益財団法人日本無線協会の各本支部で実施している養成課程と修了試験を受けて合格すると取得できます。